小さな知識 小さな親切 大満足の接客とは
私はいわゆる「飲む」人ではない。
だからあまりお酒のことは知らない。
しかし気の置けない友人と「嗜む」ことは好きだ。
だから雰囲気の良いホテルのバーで軽く一杯飲むのが理想だ。
故郷金沢から高校時代の友人が上京していた。
食事を済ませて、マンダリンホテル東京のバーに行く。
モヒートを注文する。
いつも気になっていたが、「なぜストローが2本あるのだろう」
思わず聞いてみた。
すると「はい」とすぐに返事があり説明してくれた。
2本あるのは吸い口の強弱を選べるため。好みで調節できる。またミントの葉やライムの種がストローを詰まらせる可能性も考えられる。そんなときの応急処置としてもう一方のストローが使えるということもある。ちなみに小さな三角のナプキンは種を置いても拭いてもご自由にお使いくださいませとのこと。
優しい笑顔と的確な説明はプロだと感じた。
すっかり気をよくしたし、どうでもいいことであったとしても日頃不思議に思っていたことがわかりすっきりした。
ひょっとすると、これは誰でも知っていることであり、常識なのかもしれない。どこかで同じ質問がしたくなった私は、前のエピソードでお話したアメリカのコンサルタントのようだった。
こじんまりとしたおしゃれな渋谷のバーでモヒートを注文した。若い女性が担当したのは同じだったが、受け答えが違った。
ちょっと驚いてみせて、「あっ、これは『おしゃれ』のためです」と大きなスマイルで愛嬌を振りまいて終了であった。
確かにどうでもいいことかもしれないが、「細部には全体が宿る」という。こんなところにも付加価値が高いところとの違いがでるのだろうか。「やっぱり違うね」と思い妙に納得した。