感動する接客 Excellent Customer Service

日本の接客マナーの向上に役立つエピソードを更新していきます。

私のせいじゃないと言い出すとき

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仕事の後、建物を出て指定された場所で待っているはずの「迎車」のサインを点灯させたタクシーが見当たらない。焦りました。

 

ちょっと向こうへ目をやると、なんと道を隔てて建物の柵の外で停車しているではありませんか。まさか柵をまたいで来いとでもいうのでしょうか。

 

広大な敷地でしたので、迂回してなんとか指定場所に来てもらいました。こんなことがまたあると困るので運転手さんに念を押しておきました。もちろんタクシー会社にも連絡をとって次回はそうならないように伝えておいてもらいました。

 

しかし、二度あることは三度あったんですね。しかも立て続けに。それで間違いなく来てくれた運転手さんにその話をしたんですね。

 

すると、その運転手さんは「承知しました。必ず確認するよう伝えておきます。ご迷惑おかけして申し訳ございませんでした」とでもいうのかと思ったら、

 

「それは私のせいじゃない」

 

と言い放ったのには愕然としました。

 

このセリフ、昔パリに住んでいたときの皮肉な笑い話を思い出します。

 

「英語では"This is a pen"という文章を一番先に覚える。フランス語でこれに相当するのは"Ce n'est pas ma faute" (それは私のせいじゃない)だ。(爆)」

 

確かに、商店などでミスを指摘すると必ずといっていいほどこの言葉を聞いた。

脱線してしまったが、フランス人はさておき、日本人はそうじゃなかったはずでは?

 

どんなに小さくても会社や組織に働く人は、その社長と同様の代表者であると心がけて欲しい。何よりも、そのサービスを使っているお客様はそう信じている。それが会社の信頼や信用を築いていく。結果、評判が高まり商売繁盛、給料も上がるというものではないのか。

 

謝罪vs無言の接客の勝敗は決まっている

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ある日の午後

接客業において、スタッフがついお客様の前で失敗するというシーンはあまりないとはいえ、実際にはどちらの側に立ったとしても、誰でも経験していることだろう。

 

素晴らしい外の景色を見下ろしながらゆったりと広々としたソファに腰を沈め、午後のひと時を友と語らい、お茶とお菓子でくつろぐアフタヌーン・ティー。多くの女性が大好きな贅沢な時間の過ごし方だろう。その日はあるホテルに行くことにした。最初に客の目を惹きつける飲み物の提供で始まった。

 

シャンパングラスを置いたら、その場でボトルを振ってみせてボトルを逆さにしてレバーを押す。するとシュワーとそこから発泡性の泡がでてきて飲み物が目の前でみるみるとグラスを満たすことになる。「わあ、きれい」と思わず歓声をもらすことになる演出の場でもある。

 

しばらくすると、斜め向かいの席に4,5人の女性客が入ってきた。またこの演出が始まったのだが、なんとスタッフは逆さボトルから噴き出す泡をグラスではなく、テーブルに吹きかけてしまったのであった。シャンパングラスの飲み口は狭いので、ちょっと注意を怠るとそうなる危険は十分あるが、驚いたのはそのことだけではなかった。

 

なんと謝りもしなかった!もくもくとテーブルを拭いただけであった。4,5人の客もあっけにとられ黙り込む様子であった。別の意味でのサプライズ演出に息が止まったといったら言い過ぎか。

 

ところで最初からこのスタッフは大丈夫だろうかと気になってしかたがなかったので、やっぱりやったか、と思った。見習いレベルというか・・・。アフターヌーンティーでは違う種類のお茶を飲むのも楽しみのひとつであるが、ティー・カップを交換してくれるのだが、その時に「コップ」を変えると言ったのもちょっとひっかかった。

 

このホテルは超高級ホテルで、宿泊するチャンスがあるとは私には到底考えられない。そんなところでも一般客には開放されている飲食施設は、贅沢な気分になりたいときにはありがたいものだ。宿泊客も同様に利用するのだから、接客レベルは保たれているはずと考える。そこで、ティー・コップかあ。

 

そろそろ帰るとするかと、最後のオーダーにアイスコーヒーを選んでみた。このスタッフが運んできたものは、さすがそんじょそこらで見かけるものではなっかた。透き通った黒い色ではなく濁りのある濃茶だった。

 

「わー。これは濁っているんですね!」と感嘆の声を上げたら、

 

なんと答えが、

「はい、濁っています」

 

昨日アップしたマンダリンオリエンタルでのモヒートの2本のストローのような説明は一切なく、ぶっきらぼうにオーム返ししただけだった。

 

ちなみに、このアイスコーヒーは素晴らしく美味で忘れがたく、昨日もコーヒー専門の喫茶店スペシャルアイスコーヒーを注文したらまったく及ばすのお味でした。

 

いろいろとあったが、顧客満足において、お客様のテーブルで粗相をしたら謝るぐらいはしてほしい。ちょっと音をたててものを落としても「失礼しました」というファミリーレストランだってあるぞ。他人のテーブルのことながら、ぶっきらぼうな対応に呆れた。超高級ホテルのラウンジでそう思った次第です。

 

接客において無言ほど無礼なものはない。

小さな知識 小さな親切 大満足の接客とは

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私はいわゆる「飲む」人ではない。

だからあまりお酒のことは知らない。

 

しかし気の置けない友人と「嗜む」ことは好きだ。

だから雰囲気の良いホテルのバーで軽く一杯飲むのが理想だ。

 

故郷金沢から高校時代の友人が上京していた。

食事を済ませて、マンダリンホテル東京のバーに行く。

 

モヒートを注文する。

いつも気になっていたが、「なぜストローが2本あるのだろう」

思わず聞いてみた。

 

すると「はい」とすぐに返事があり説明してくれた。

 

2本あるのは吸い口の強弱を選べるため。好みで調節できる。またミントの葉やライムの種がストローを詰まらせる可能性も考えられる。そんなときの応急処置としてもう一方のストローが使えるということもある。ちなみに小さな三角のナプキンは種を置いても拭いてもご自由にお使いくださいませとのこと。

 

優しい笑顔と的確な説明はプロだと感じた。

 

すっかり気をよくしたし、どうでもいいことであったとしても日頃不思議に思っていたことがわかりすっきりした。

 

ひょっとすると、これは誰でも知っていることであり、常識なのかもしれない。どこかで同じ質問がしたくなった私は、前のエピソードでお話したアメリカのコンサルタントのようだった。

 

こじんまりとしたおしゃれな渋谷のバーでモヒートを注文した。若い女性が担当したのは同じだったが、受け答えが違った。

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ちょっと驚いてみせて、「あっ、これは『おしゃれ』のためです」と大きなスマイルで愛嬌を振りまいて終了であった。

 

確かにどうでもいいことかもしれないが、「細部には全体が宿る」という。こんなところにも付加価値が高いところとの違いがでるのだろうか。「やっぱり違うね」と思い妙に納得した。

 

ホテルの雰囲気に合うマネージャー、合わないマネージャー

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一流ホテルに働く人のエピソードが面白い。

 

少し古い本だが、最強のホテルマン9人のドキュメント「the Hotelier」のなかにこんな話があった。

 

ウィンザーホテル洞爺の再建で有名な窪山哲雄氏がニューヨークのウォルドルフ・アストリアホテルで修行中の出来事である。上司と彼は五番街を一緒に歩いているときに、交差点で総支配人に出くわした。

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翌日、その上司は総支配人から解雇通知を突き付けられたというのだ。理由は彼の「立ち居振る舞いおよび出で立ちはウォルドルフの雰囲気に合わない。幹部たるもの、ホテルの周囲10マイルは顧客の固まりと思うことだ」

 

これからは気をつけるように、という勧告なら分かるが、なんとも厳しい。しかし「雰囲気」とは建物や料理だけで作ることはできない。そこには必ず人がいる。醸し出し、創り出すものだろう。それは極めて双方向な関係であり、滞在客という顧客にふさわしい人間が対応していなければならない。

 

そう考えると当然とも思えるが、どうだろう?

 

 

理不尽な強情さと戦えない接客ミス

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「加賀屋の流儀」に、あるクレームの話がありました。

旅館では最寄り駅に予定通り到着したすべてのお客様を迎えに行きます。

苗字を書いたプラカードを見せて気づくように計らっている。

気づいた「その苗字」のお客様がスタッフと一緒に送迎用の車に乗り込むという一連の流れになります。

 

その日迎えた人を乗せて、お部屋へ案内した。このお客様はV.I.Pのお客様で旅館でも最高のお部屋のひとつに案内した。

 

この担当者はもうひとり遅くの時間にお迎えがあった。部屋割りを確認したとき、同じ苗字の方だったことに気づいたときにはすでに時遅し。こちらがV.I.Pのお客様だったのだ!

 

慌てて、V.I.Pの部屋にいる、普通のお部屋を予約されたお客様に事の顛末を説明してご理解いただくようにお願いをした。もちろんこちらのミスで謝罪を心を込めてしたつもりだったのだが・・・・・・どれだけ謝っても部屋を移ることはなかったという失敗談です。ちなみに差額はスタッフが自腹で払ったとあり、気の毒に思いました。

 

うむ。同じようなミスをどこかでも読んだ気がする。

 

今度は旅館ではなく、ホテルのレストランでのことです。

 

高級ワインを何本も開けて食事した人のお会計を少額代金の人のものと間違えて受け取り、後で気づいてお客様を車寄せのところまで追って行って謝ったが、客は怒り心頭で「食い逃げした客というのか」とすごみ絶対に支払うことはなかったという。

 

テーブルチャージでは起こらないので、昔の話だと思いますが、共通して言えるのはいかに一旦受けたサービスに対して客は引かない、正当性を主張するお客がいるということですね。驚くばかりですが、サービス業に従事していたらこんなことがあるんですね。

 

こういう「断固として自分が本来予約した部屋へは移らない」「断固として自分が飲食したものを支払わない」という理不尽なお客にはなりたくないし、恐らくそう多くはないでしょう。

 

しかし、サービスする人の側から立てばミスは避けることが充分できたという事実です。どちらも自腹を切ったと言っていますので、高いレッスン料を払って学んだということですね。

 

クレームの陰にミスあり

 

ではまた!

 

 

 

日本で最もお金を使う外国人観光客は?

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日本にやってくる外国人観光客で、一番お金を落としていく国はどこだと思いますか?というと、大抵の人は、「中国」と答えます。

 

だって、観光スポットや普通に東京の街を歩いていても、目立つのは中国人らしき人たちばかりが目立ちますから、そう思うのも当たり前かもしれません。

 

ひところ「爆買い」という言葉も流行りましたし、相変わらずドラックストアにいけばスマホ見ながら商品チェックかなにかしながら、籠いっぱいに薬や化粧品を入れて買い物する中国人をいまだに見ます。

 

見た目感覚には「当たり」と言えます。訪日観光客の数からいえば、アジア圏の人たちが上位を占めています。つまり台湾、韓国、中国、タイ、の人たち全体でいえば圧倒的に多いことは事実です。

 

ところが実際にお金をどれだけ使ったかの統計を取ると意外な結果が出てくるんですね。一位はオーストラリアなんです!驚きませんか?これは観光庁が発表している「訪日外国人消費動向調査」で一人あたりの消費データが示しているものです。

 

オーストラリア人が爆買いしている様子も見受けられませんよね。これも統計ででていましたが、ショッピングはあまり関心がないようです。唯一ショッピングでの一人当たりの消費金額を第一位中国に譲っています。

 

では一体何にお金を使うのかと内訳をみると、まずは「長期滞在型」の旅行者が多いことです。宿泊および交通費にお金使っています。

 

どこへ行くかというと、都市ばかりでなく地方へも足を延ばす傾向があります。例えば広島は必ず行きたいところですし、北海道ニセコ、長野の白馬高原などにスキーリゾートでゆっくりと過ごすことも好きです。個人の体験を深めるために地方へと興味を深める傾向が強い。

 

そして「飲食」においても第一位です。一番一人当たりの単価が高いお客様ですので、滞在中はラーメンを食べ歩いたというタイプの外国人旅行者ではなさそうです。滞在中に困ったことの上位には英語が通じないことが挙げられていますから、このあたりまだまだExcellent Custommer Serviceを提供しようとすると、これからの接客英語の勉強をしておいて損はないと思いますが、いかがでしょうか。

 

まとめると

 

外国人観光客の一人当たりの消費金額が多いのは

オーストラリア人で、

ショッピング以外の

宿泊、飲食、交通、娯楽サービスで一位である

 

意外でしたね。

では、また!

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上げ膳、据え膳、そして陰膳のある旅館

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温泉につかってゆっくりしたい、

日常生活の煩わしさから解放されたい。

 

日常生活の煩わしさのなかでも

食べることの準備が煩わしいですね。

 

特別料理が好きという人は別として

食事の買い出し、料理作りは

解放されるとどんなにか嬉しいことか。

 

いやいや、料理好きでも

その後片付けもあることも忘れてはいけない。

 

日本旅館のサービスでの

上げ膳、据え膳があるだけで

極楽だと思う人も多いはずです。

 

プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選で

40年近くの間一位に選ばれている常連旅館の

石川県能登は和倉にある加賀屋。

 

「加賀屋の流儀」という本を読んでいたら

陰膳のサービスに感動したというお客様からの

感謝の手紙の数々が紹介されていて驚きました。

 

陰膳とは「旅などに出た人の安全を願って、

留守宅で用意して供える食膳」と広辞苑にはありますが、

ここでの意味はまた違ったものでした。

 

あるお客様が加賀屋ファンで、何か行事があるごとに

旅館に泊まることを楽しみにしていたそうです。

 

しかし亡くなってしまい、遺族の方たちが

一周忌か三周忌か忘れてしまいましたが、

故人をしのんでこの旅館に泊まることにしました。

その時に小さな写真立てを鞄に忍ばせ

窓際に飾ってあったらしいです。

 

お部屋のお世話をする担当スタッフと

そのことについて一切お話はしなかったのですが、

写真の方は亡くなられたらしいことに

スタッフは気づいたのですね。

 

そして食事の時間になって準備に入ったときに

なんとその写真立ての前にも小さなお膳が用意されていた。

これが陰膳です。

 

なるほど

 

もてなし上手な旅館には

上げ膳、据え膳、陰膳がある

 

これぞExcellentCustomerServiceですね。

 

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